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教えて!ドクター・N
「先端設備減税については、4月号でもその制度を簡単に説明しました。
平成28年度までに先端設備を導入すると、設備ユーザー様の選択により
『特別償却(即時償却 100%)』 もしくは 『税額控除 5%』 の優遇
が受けられるというもの。」
※平成28年度は、特別償却50%、税額控除4%に縮小される。
「でも、実際にどのくらいおトクなのか? 計算が分からないという声が
あるわよ。教えてほしいわ。」
「うむ。税務担当者や税理士さんならお詳しいじゃろうが、通常は
耳慣れない用語じゃな。
では、機械・装置における計算例を見ることにしよう!
機械・装置は、その用途または細目別に55種の区分があり、それぞれ
法定耐用年数が定められていることは知っていることじゃろう。」
国税庁のウェブサイト
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/fuhyou/09.htm
「例えば、プラスチック製品製造業用設備の場合は耐用年数8年と法定
されています。仮に、1000万円の設備を導入し、定額法で償却すると毎年
125万円ずつ8年間で償却することになるね。(残存価値を考慮しない場合)
『普通償却』の場合
当期の減価償却前の利益が2000万、法人税率が35%だと設定したときの
税額は、(2000-125)×35%=656万円となる。」
「でわ、同じ設定で・・・
『特別償却(即時償却 100%)』の場合
初年度に1000万全額を減価償却するので、初年度の税額は、
(2000-1000)×35%=350万円となる。普通償却の場合との差額は306万円となる。
つぎに
『税額控除5%』の場合
普通償却の場合の税額(656万円)から設備投資額の5%分(1000万円×5%=50万円)
軽減され、656-50=606万円となる。普通償却との差額は50万円 」
「とゆーことは、どっちがおトクか?というと・・・。」
「初年度だけをみると、『特別償却(即時償却 100%)』が優遇が大きい
ことは明らかじゃ。しかし、よく考えると将来の減価償却費を先食いしている
だけじゃな。普通償却なら、2年目も3年目も125万円ずつ減価償却できるのに、
初年度に即時償却したために2年目以降は償却できなくなる。結果として、2年目
以降は税額が125×35%=44万円ずつ高くなる。結局2~8年目までの7年間で、
44万円×7年=306万円となり、初年度の306万円の減税はチャラになるのじゃ。
一方の『税額控除5%』は初年度の50万円の減税効果はそのままじゃ。
したがって、法定耐用年数の全期間を通してみると、『税額控除5%』のほうが
有利ということになる。」
「赤字の会社はどーなるの?」
「優遇税制は、納付すべき税額が安くなるというもの。赤字の会社には恩恵は
ないのじゃ。また、『税額控除』の場合も当期の法人税額の20%が上限となる。
例えば法人税を200万しか納付しない会社は、200×20%=40万円までしか税額控除を
受けることができない。上の例で1000万の設備投資をしても、50万円全額ではなく、
40万円だけの優遇となる。(残10万円は次年度以降に繰り越し)」
「以上は、説明のために簡略化した計算モデルに過ぎないよ。2年目以降の利益
なんて正確に予測できないし、今年赤字ついでに大きな設備投資に踏み切り、
来年度以降に負担を持ち越さない即時償却を選択する企業戦略もありだよね。
優遇税制の選択は、それぞれのお客様におかれまして、ご判断をお願いいたします。」