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【計量法】
すでにご存じの方もいらっしゃるじゃろうが、このほど計量法施行令
附則第5条が改正され、平成29年10月1日から施行されている。
この改正により、検定付きはかりの初回定期検査受検時期の特例措置が
廃止されたのじゃ。(特例3年 ⇒ 原則1年)
なんだか全然分からないわ。。
「免除」の「特例」の「廃止」って、敵の敵は味方みたいで
とってもヤヤコシイわー。
そうじゃろな。じゃが、この改正はとても重要なので、順を追って解説
することにしよう!
メルマガ史上、もっとも長い記事になるかもしれないので、頑張って
読んでほしいぞよ。
以下の記事は、次の3部構成とする。今回の改正内容の詳細については
第3部で説明する。
第1部:「定期検査」とは
第2部:定期検査の周期について
第3部:初回の定期検査の受検時期について
第1部 定期検査とは
まず「特定計量器」の種類からスタートしよう。
では、ここでクイズです。
全部・・・じゃないかしら?
ブッブー。不正解!
・圧力計、温度計 → 検定期限がないもの
・タクシーメーター → 装置検査を行うもの
・ガスメーター、水道メーター、給油メーター → 検定の有効期間があるもの
・ロードメーター → 検定の対象とならないもの
以上の特定計量器は「定期検査」の対象となりません!
タクシーメーターは車両に取りつけて、1年ごとに装置検査を行います。
ガスメーターは10年、水道メーターは8年、給油メーターは7年の
有効期限があるため、その間の定期検査はありません。
定期検査の対象となる特定計量器は、非自動はかり、分銅・おもり、
皮革面積計の3つだけです。
つぎに定期検査では「何を」検査するのか?を見ていこう。
ここからは「非自動はかり」について説明していく。非自動はかりは
検定に合格したものであっても、使用している間にその構造、使用条件、
使用状況等から、その性能及び器差に変化が生じるおそれがある。
そこで、計量法は、非自動はかりを取引又は証明における計量に使用
する者に対して、定期検査を受けることを義務づけ、定期的に性能及び
器差のチェックをすることを要求しておる。
(計量法第19条第1項)
つまり、定期検査では主に「使用公差による器差検査」を実施するの
じゃよ。
定期検査は「誰が」するのか?
定期検査の主体は、
・都道府県知事 又は・特定市町村長
・指定定期検査機関(計量協会など)
です。
以上をまとめると、非自動はかりを取引・証明に継続使用するためには、
都道府県知事等が実施する定期検査を受検して、その器差検査に合格
しなければならない、ということになります。
第2部:定期検査の周期について
いきなりクイズじゃ。
に、2年?
正解!
正確を期すために、計量法の条文を引用します。
そして法の青字部分が、政令で次のように定められています。(赤字部分)
うむ。これが、「非自動はかりの定期検査は2年に1回」の根拠条文
なのじゃな。
「区域ごとに」という箇所も重要で、都道府県知事等はちょうど2年ごとに
同じ区域で定期検査(集合検査)ができるよう、巡回計画を立てるのじゃ。
大阪府の例を下記に示す。
つまりー、非自動はかりの使用場所において、2年に1度巡ってくる
定期検査を受ければいいのね。カンタンじゃん!
確かに2年周期で定期検査を受ければいいという点は単純じゃな。
特に2回目以降の定期検査は、はかりの使用場所において実施される
巡回検査を受け続ければよい。
しかしじゃ。初回の定期検査をいつ受けなければならないか?はちと
問題じゃぞ。例えば、ケイちゃんが検定品の非自動はかりを購入した
としよう。たまたまケイちゃんがはかりを使用する区域では、購入の
翌月に定期検査が実施されるとしたら、これを受けなければならない
かな?
えぇー! それは損した気分になるわよ。
せっかく検定品のはかりを買ったのに、すぐ翌月に定期検査を
受けなければならないなんて。
そうじゃろう。
じゃから、計量法は「定期検査の免除期間」を設けているのじゃ。
ここから先は次の部で説明しよう。
第3部:初回の定期検査の受検時期について
うえで非自動はかりの定期検査は2年に1回実施され(計量法第21条第1項)、
取引・証明に継続使用するためには定期検査を受けることが義務づけられて
いる(計量法第19条第1項)ことを説明した。
しかし、これには以下の例外が設けられているのじゃ。(ただし書き参照)
免除期間に該当するかどうか?をチェックするには、まず定期検査実施期日と
検定証印等に表示された年月の2つを押さえます。
仮にはかりを使用する区域の定期検査実施期日が平成31年1月23日(水)で
ある場合の判定は以下のようになります。
これが計量法施行令第10条の原則です。
しかし、これまでは以下の特例措置が講じられていたのじゃ。
免除期間が「1年」なのか?、「3年」なのか?では大きな違いがあるわい。
「1年」の場合は、うえの設例のように、検定証印等の表示年月と定期検査実施期日
との組み合わせによっては購入直後に1回目の定期検査を受けなければならないこと
がある。
しかし免除期間が「3年」なら、その区域の定期検査実施が奇数年であろうと偶数年
であろうと、必ず1回目の定期検査はパスできることになる。
(3年間に2回目の定期検査が巡ってきたら、その検査は受けなければならない)
特例措置が講じられた背景には、非自動はかりのうち、平成5年の計量法
改正時に追加された計量器(小型はかり等)については、当時既に製造
された在庫が大量にあったことから、購入後すぐに定期検査が到来する
ことを救済する意味合いがあったんだ。
つまり、施行令附則5条の特例措置(1年⇒3年)は、「初回の定期検査」
をパスさせる救済措置だった訳さ。
しかし、この措置については、平成5年の計量法改正からすでに25年が
経過し、その意義が薄れたので廃止することとしたのが今回の改正。
では、改めて今回の計量法施行令附則第5条の改正内容を確認しよう!
特例措置(3年)が適用されるか、廃止されるかの分かれ目は来月に迫っておる。
検定証印等に表示された年月が「31.4」なら特例措置は適用されず、定期検査
免除期間は原則通り一律1年となるのじゃ。
今回の特例措置の廃止で、何か気をつけなければならない
ことってあるかしら?
うむ。やはり、製造メーカーの生産からお客様のご購入まで、在庫期間が長い
場合には、お客様の区域の定期検査スケジュールによっては、ご購入直後に
定期検査を受けなければならないケースがあることに注意!じゃな。
お客様の購入直後に定期検査を受けなければいけないかどうか?
については、
① 検定証印等の年月はいつか?
② お客様がいつ購入されたか?(=在庫期間はどのくらい?)
③ お客様の事業所等がある区域の定期検査の実施時期がいつか?
が複合的に影響するので、それらを個別に把握する必要があります。
長い記事、最後までお読みいただいた方、どうも有難うございます。
以上が定期検査の免除期間に関する特例措置の廃止に関する
計量法施行令附則第5条改正の解説でした。お疲れさまでした。