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今月の特集

今月の特集

【製造品質とメンテナンス】

出荷前の完成品検査と現場でできるメンテナンス

 今月は、水産向けデジタル台はかり KL-FM-K150Aを題材に、
クボタの工場出荷時に実施する「完成品検査」と、お客さまの現場で
できるメンテナンス方法
について説明しよう!


KL-FM-K150A ひょう量:150kg/目量:100g

 この台はかりは、取引・証明に使用できる検定品。

 定格銘板には「完成品検査」に合格したことを示す「基準適合証印」
刻印されています。
   

   ※「基準適合証印」とは?
    国や都道府県等の公的機関が付する「検定証印」と同等の効力がある
    証印であり、経済産業大臣の指定を受けた民間の製造事業者だけが
    自主検査(完成品検査)に合格した計量器に付することができる。
    クボタはわが国で最初に指定製造事業者の指定を受けたメーカーの
    ひとつです。

 「完成品検査」では、どのような内容の
 検査をしているのかしら?

 検査内容の詳細は、計量法の特定計量器検定検査規則で定められて
いるんだよ。計量器は、一台一台誤差がでる可能性が否定できないよね。
だから全数検査で、器差、偏置荷重、繰り返し性などの検査をはじめ、
ワンタッチゼロや風袋引きの機能を検査するのさ。

 検定検査規則では、検定公差(器差の許容値)が次の通り定められて
いるよ。
 
 

 左側のグラフを見てください。
100kgの分銅を載せた場合は、プラスマイナス100gまでの器差であれば、
検定検査規則のうえでは検定公差内、つまり合格範囲になります。

 うむ。しかしじゃ。

 クボタでは完成品検査の合格基準を、器差オールゼロとする
運用を行っておる。例えば器差検査において、ゼロからひょう量
まで順に基準分銅を積み増し、その後積み降ろしながら再びゼロ
にする場合。これを「行き」と「帰り」と表現する場合があるが、
行きも帰りもそれぞれの検査ポイントで器差オールゼロが独自の
合格基準なのじゃ。偏置荷重(四隅に荷重をかける検査)も繰り
返し性(同荷重を3回繰り返す検査)も同じく器差オールゼロ
合格基準。

 工場を出荷する新品の時点では、気持ちよく誤差がゼロの状態で
送り出すのがクボタの製造ポリシーなのじゃ!

 

 でも最初は誤差がゼロでも、何年も使っているうちに
誤差が大きくなってくるんじゃない?

 その可能性はある。じゃから、計量法は2年毎の定期検査を義務づけ、
器差が使用公差をオーバーした場合には不合格とし、以後取引・証明に
使用することを禁止しておるのじゃな。使用公差については、さっきの
表の右側を参照するのじゃ。

 誤差が大きくならないよう、予防・監視するためのメンテナンス方法
について説明します。つぎの三段階の点検・整備が有効です。

日常点検(毎日使用前に実施)
・電源オン時に「0㎏」を表示するか
・質量表示値が安定しているか、ちらつきはないか
・計量後に負荷を除去すれば、「0㎏」に戻るか
・計量精度の簡易確認をします
 最後の計量精度の確認については、基準分銅があればベストですが、
 そんなに神経質になる必要はありません。あらかじめ質量が判明して
 いる物体があれば、それを毎日使用前にはかってみればよいのです。
 同じ物体をはかって、前日や一週間前や一ヶ月前と比べて変化がない
 ことを確認することが目的なのです。

②定期点検(3ヶ月~1年に一回実施)
・はかり内部の清掃、発錆の確認
・ロードセルケーブルの損傷確認
・載せ台の隅に物体を置いて計量し、中央に置いたときの計量値と
 大きく差異がないかの確認などを行います。

③法定検査(2年毎の定期検査)
・都道府県の計量検定所や特定市の計量検査所、さらには民間の計量士等
の専門家に委ねる必要があります。

 台はかりを健康な状態で、より長くご使用いただくには、さらに
つぎの点にご注意を!
・台はかりを計量目的以外に使用しないこと。例えば、台はかりを
置き場にして、物を長期間載せたままにするなどは禁止。
ひょう量以上の荷重を加えないこと。
・載せ台面に物を落とすなど、衝撃荷重を加えないこと。
横方向の負荷をかけないこと。計量物を載せ台上で横に引っ張る
のは禁止。上に持ち上げること。

以上の点に注意して、末永く台はかりをご使用ください。

来月号では、水産向け台はかりの導入事例を紹介する予定です。そちらの記事もぜひご一読ください。